転職・電験保安電気工事士はやめとけ?労働時間・年収・人手不足をデータで確かめる
「電気工事士はやめとけ」という言葉を見て、不安になった人もいると思います。この記事では、労働時間・年収・求人の状況を国の統計で確かめます。統計で分かることと分からないことを分けて、判断の材料を整理します。
この記事の要点
- 電気工事従事者の残業時間(超過実労働時間)は月17時間です
- 年収の試算は628万円で、前年から14.7%増えました
- 有効求人倍率は3.26倍で、全職業の1.05倍を大きく上回ります
ほかの要点(1)
- 電気工事従事者の15.2%は、人を雇わずに働く業主(一人親方など)です
働く時間は長いのか
国の賃金構造基本統計調査(2025年)で、1か月あたりの労働時間を比べます。
| 職種 | 所定内実労働時間 | 超過実労働時間(残業) | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|
| 電気工事従事者 | 163時間 | 17時間 | 14.3年 |
| 建築技術者(施工管理を含む) | 166時間 | 17時間 | 12.9年 |
| 配管従事者 | 165時間 | 11時間 | 12.7年 |
| 大工 | 174時間 | 12時間 | 11年 |
| 発電員・変電員 | 153時間 | 19時間 | 16.5年 |
企業規模別に見ると、従業員1,000人以上の企業は所定内が150時間・残業が22時間、10〜99人の企業は所定内が173時間・残業が12時間です。働く時間の長さは、会社の規模によって形が違います。
年収は上がっているのか
電気工事従事者の年収の試算は、2024年の548万円から、2025年は628万円になりました。関連する職種と比べた増減は次のとおりです。
| 職種 | 年収の試算(2025年) | 前年(2024年) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 発電員・変電員 | 707万円 | 659万円 | +7.4% |
| 電気・電子・電気通信技術者 | 704万円 | 755万円 | -6.8% |
| 建築技術者(施工管理を含む) | 679万円 | 642万円 | +5.8% |
| 電気工事従事者 | 628万円 | 548万円 | +14.7% |
| 土木技術者 | 625万円 | 597万円 | +4.8% |
| 配管従事者 | 523万円 | 486万円 | +7.7% |
| 大工 | 485万円 | 449万円 | +8.2% |
| 電気機械器具組立従事者 | 446万円 | 429万円 | +4.0% |
1年分の変化なので、翌年も同じように伸びるとは限りません。年齢別・経験年数別の数字は「電気工事士の年収」で詳しく紹介しています。
人手は足りているのか
厚生労働省の一般職業紹介状況(2026年7月分)で、ハローワークの求人と求職者の状況を見ます。
| 職業 | 有効求人倍率 | 有効求人数の前年同月比 | 有効求職者数の前年同月比 |
|---|---|---|---|
| 電気工事従事者 | 3.26倍 | +4.5% | +8.1% |
| 建築・土木・測量技術者 | 5.46倍 | +0.1% | -0.2% |
| 建設・採掘従事者 | 4.99倍 | +0.6% | +1.6% |
| 職業計 | 1.05倍 | -3.0% | +0.9% |
電気工事従事者の有効求人倍率は3.26倍で、求職者1人に対して3件以上の求人があります。求人数は前年同月より+4.5%、求職者数は+8.1%でした。仕事を探す人も増えていますが、求人のほうが多い状態が続いています。
独立という選択肢
令和2年国勢調査では、電気工事の仕事をしている人は505,940人で、そのうち15.2%が人を雇わずに働く業主でした。全職業の6.4%と比べて高い割合です。
| 区分 | 電気工事従事者 | 割合 | 全職業の割合 |
|---|---|---|---|
| 就業者の総数 | 505,940人 | 100% | 100% |
| 雇用者(会社員・パートなど) | 345,300人 | 68.2% | 81.5% |
| 役員 | 55,300人 | 10.9% | 5.4% |
| 人を雇っている業主 | 16,560人 | 3.3% | 1.8% |
| 人を雇っていない業主(一人親方など) | 76,870人 | 15.2% | 6.4% |
| 家族従業者 | 7,650人 | 1.5% | 2.8% |
会社に勤める以外に、経験を積んで独立する道が一般的にある仕事だと言えます。ただし、独立後の収入はこの記事の統計には含まれていません。
統計では分からないこと
統計が示すのは平均の数字です。一人ひとりの働き方や、現場の安全・体力の負担、人間関係、扱う工事の種類による違いは、この数字からは読み取れないため、職場の見学や、実際に働いている人の話で確かめることをおすすめします。
よくある質問
Q. 残業は多いですか? A. 2025年の統計では、電気工事従事者の残業時間(超過実労働時間)は月17時間でした。会社の規模によって違いがあります。
Q. 未経験からでも働けますか? A. 統計からは個別の採用条件は分かりません。経験0年の人の所定内給与額は月25万1,200円で、経験とともに上がります(電気工事士の年収)。
出典
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表(職種(小分類)、性別)」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第1表(職種(小分類)、性別)」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 第14表(職種(小分類)、性、経験年数階級別)」
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和2年国勢調査 抽出詳細集計 第10表(男女、従業上の地位、職業(小分類)別就業者数)」
- 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和8年7月分)参考統計表(公表ページ)